2011/04/26

作家Q&A: オグリヒデトさん

"garden"展作家インタビュー、19人目は、第2回より参加のオグリヒデトさん。彼も前回インタビューの大高さんと同じく平面、立体造形&映像界を渡り歩くツワモノです。
Q: 今回の「Para Mower」、立体のうさぎさんが芝を刈っていて、その芝刈り機を上から覗くとぱらぱらマンガが見られるよ!という作り
(…ですが、ちょっと見るのが難しいので、中身を本にしてそれもセットで展示)。とにかく目を引く、とてもかわいい作品。いや〜しかし色々盛り込みましたね!

A: 前回に引き続き、見るのが困難な作品になってしまって、この点はとてつもなく反省しております。そのための「セット展示」だったわけですが、セットのパラパラだけだとぜんぜん面白くないんですよね…ここも反省です
「ぱらぱらマンガ喫茶展」においての当方は、立体および出オチ担当だと思い込んでいるので、ご来場された方にこのグループ展の幅広さや、なんだこれ的なものを感じていただけたら、と思っています(今理由付けしました)




Q: うさぎは一応添え物で、「さわらないでね」のサインがついていましたが、小さいお客さまたちは遊びたかったでしょうね!この作品のサイズを決定するのに、どこが基本になったのですか?うさぎ?芝刈り機?それとも中身の絵でしょうか?色々な素材が組合わさった作品ですが、着想〜完成までの流れをちょっとお聞かせ下さいますか?

A: まずサイズですが、「パラパラ機能付き芝刈り機」を作るに当たってまずだいたいのパラパラ画面のサイズを決めて、次にパーツ集めを始めました
そして秋葉原の素材売り場で安くていい形の車輪を発見したので、ここから図面を描きました。
つまり、サイズは入手したタイヤから決定しました
次にウサギですが、最初の段階では芝刈り機を操作しているのはアメリカのカートゥーン風庭師キャラクター(人間)として作り始めたのですが、完成した芝刈り機にあわせて成人男性を作ると、そうとう大きくなってしまう上、どうにもかわいらしくならなかったので、急きょ方向転換しキャラクターを根底から考え直し、すごい速度で完成させました
だから、ウサギは添え物というか代役なんです、一番目立ってますけど
「さわらないでね」サインは、フェルト植毛が毛羽立ちがちなのと、手足の接合がけっこう甘いためで、できればどなたでも手に取っていただける位の強度と安心感でお届けしたかったです
フェルト植毛は、ちょうどこれを作るちょっと前に仕事でパペットを作ったノウハウをそのまま利用しました(結果図らずも 鉄、プラスチック、羊毛、紙と、かなりなミクスチャー具合となりました)
そして手足を後からはめるようにしたことの副作用から、なんとなく可動人形になったので、せっかくだからコマドリをして、ついでだからそれでぱらぱらマンガを作りました
こんなかんじの、実に行き当たりばったりな流れです。だからこその先にも触れたセットのパラパラの詰めの甘さなんだと思います。
つまり計画性のない見本市のような作品なわけです、着想は脊椎反射ですし。インタビューに応えていて、落ち込んでくるとは思いませんでした。



Q: 「ガーデン」というテーマ自体についてはどう感じましたか?自分の作品に、どう反映させようと思った?

A: 「ガーデン」というテーマは具体的なようでその実とても抽象的で、私のようにストレートに受け止める人から、インナースペース的なものを発想する人もいて面白いと思います

私は「ガーデン」という響きから、ほぼ反射的に「芝刈り機」という発想がありました
Vネックのカーディガンにチノパンで休日に芝刈りをしているアングロサクソンなお父さんの絵が浮かんだのです
これは少年期によく見たアメリカのホームドラマ(「奥様は魔女」など)からの発想なんでしょう、もう完全に刷り込みみたいなもんです
これが「庭」というテーマだったら今回の作品はなかったと思います


Q: 今回の作品作りで苦労をした点、発見した事、ここは注目して欲しいというポイントがあったら聞かせて下さい

A: 苦労した点は赤いボディカバーです。塩ビ板をヒートプレスという加工法で作成していますが、これだけで5〜6回失敗しています
発見したことは、「なんの説明なく意図を理解してもらうのは難しい」ということです、いやこれは当方の詰め込み過ぎが良くないんですね
注目してほしいポイントは、「芝刈り機の割と丁寧な造形」でしょうか。完璧にはほど遠いですが、そこかしこに地味な工夫があったのです、コンパクトに収納できる、とか。芝刈り機の機能/構造に関してもネットで調べたり実物を見に行ったりしました
余談ですが、お客様のご婦人に「ほんとうに刈れるの?」て聞かれましたが、さすがにそれはないだろと思いつつ嬉しかったです
見所は、ウサギのおなかとお尻のラインです


以上です。ヒデトさん、どうもありがとうございました。
なお、この製作の詳細が、彼のHP
「EXHIBITION」→「ぱらぱらマンガ喫茶garden」のページに掲載されています。そちらもぜひ併せてお楽しみ下さいませ。写真満載です!

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