2011/04/23

作家Q&A: 大高那由子さん

"garden"展作家インタビュー、まだまだ続けさせて頂きます!
18人目は、初参加してくれた大高那由子さん。平面、立体、そして教育とマルチな方面で活躍するアニメーターです。

Q: 今回の「1.怒ったぞ」「2.ゴメンナサイネ」とても手の込んだ力作です。2つの関連する物語が左右に展開しています。閉じている中央部分には芝生シートと小さい蝶々モチーフがあしらわれ、本の全体のバタフライのような形とイメージが繋がります。薄めの紙を使っているのに厚さは2センチ近くあり、これは相当のページ数ですね。各々何ページですか?左右のページ数を合わせるのは難しかったですか?

A: それぞれ150ページあります。
先に「1.怒ったぞ」を作画したあと、間を取りながら「2.ゴメンナサイネ」のページ数を調整したので、合わせるのは大変ではありませんでした。




Q: 中身は繊細な線のかわいい羊と女の子キャラクターが登場します。原画は原寸ですか?また、着色は手描きです か?2つのエピソードでキャラクターの主線と女の子の服の色が変わってますが、これは雰囲気を変える為でしょうか?

A: Flashというパソコンソフトを使って、ペンタブレットで描いています。パソコン画面内のことなので、原寸などは表せないのですが、かなり拡大しながら描くクセがあるので、原寸の200〜400%くらいの紙に描いたイメージでしょうか。
パソコンでは線のみ作画をして、着色はプリントアウ トしたものに色鉛筆で直接塗っています。

主線の色は1はさわやかな高原をイメージして緑に、2は仲直りの気まずさや暖かい恥ずかしさを込めて赤にしました。単純に、1と2を区別するための色分けでもあります。

女の子の服の色は、喧嘩した相手の中を通ったら、それだけ相手を理解できるような色に染まるだろうという思いがあって変えました。でもそんなに深くとらえず、あ、色違いだくらいに気づいてもらえたら嬉しいです。


Q: 「ガーデン」というテーマ自体についてはどう感じましたか?自分の作品に、どう反映させようと思った?

A: 最初は「ガーデン」というと、押し込められた箱庭のようなイメージがあったのですが、ある時ふとグリーンラベルのCMに出てくるような、緑一色の高原が自分の庭だったらいいな、そこに洗濯物を干したら気持ちいいだろうな、と思うようになり、世界観が決まりました。あとはもう思いつくまま に、そんな庭にはヤギがいてほしい、ヤギはどんな行動をするだろう、女の子とはどんな関係を結ぶだろう、ということを連想していって、最終的にあのような形になりました。特に「2.ゴメンナサイネ」は描きながら、さて喧嘩しちゃった二人をどうしたものか、と考えながら描いていったので、ほとんど成り行き任せです。


Q: 今回の作品作りで苦労をした点、発見した事、ここは注目して欲しいというポイントがあったら聞かせて下さい。

A: まず大きな発見はこんなになめらかじゃなくていい!ということでした。次回はもう少し薄くしてめくりやすくしたいです。
そしてやっぱり手に持てる存在感の大きさでした。
2連にしたいというのはずいぶん早くから考えていたのですが、ここまで構造をシンプルにするのにずいぶん頭の中で整理が必要でした。最初は表紙に 厚い紙を使ったり、ちょうつがいを使ったり、スライド式にしてみたらどうだろう、などいろいろ考えていたのですが、最終的にラストまで残ったのは 窓の中の蝶々模型だけでした。シンプルだけど、手に持ったとき、大切にしたくなる存在感がそのまま伝わるぱらぱらは、やっぱり映像作品にはない魅力があるな、と改めて感じました。
中身も外身も全部合わせて楽しんで、好きになってもらえたら何よりの幸せです。


ありがとうございました。
那由子さんは次回展示も参加予定です。
ぜひぜひお楽しみに!!

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