2011/02/22

作家Q&A: わたなべさちよさん

作家インタビュー、16人目はアニメーション作家、イラストレーターの
わたなべさちよさんです。第1回目からのメムバーです。"garden展"には、変わり種の作品を手に登場しました。
(*各写真は、クリックすると拡大します)

Q: 今回の連作「UP/ DOWN/ FALL/ transform/ safe…?」まずは一目瞭然ですがいわゆる「パラパラマンガ」ではありません!これは「フェナキスティスコープ」(日本では「驚き盤」とも呼ばれる)という、パラパラマンガに並ぶ原始的なアニメーション鑑賞装置です。さて、「ぱら喫」という名の展示にあえてこのスタイルを持ってきた訳を聞かせて頂こうじゃありませんか!(*決してケンカを売っている訳ではありません。質問者個人的には変化球の驚き、見た目の華やかさを存分に楽しませて頂きました!)

A: 答えさしていただこうじゃありませんか!

…って 別に深い意味はなくてですね(笑) 
それまでの二回はパラパラマンガで通してたんですよ。でも ひとつ前のぱら喫でオグリヒデトさんがインスタレーションと言うか 
扇風機のようなものを電動で回すと動画に見える(これは映像が流れて見えちゃって失敗作だったんですが)という装置を作ってたんですよ。それから ヨシムラエリさんでしたか オルゴール型ぱらぱらなんてものを作ってきたりして…で 
立体物っていいなあと思っていたんですよ。

で 今回は自分もめくらない何かを作りたい! と 思って驚き盤にしてみたんです。

驚き盤なら 基本が円形なので お花が咲いたみたいな形にも出来るしガーデンてテーマにもいいんじゃないかと。

驚き盤の見方ってわかりますかね?
一応説明しておきますと 丸い円盤に放射線状にスリットが入っていてその間に絵が描いてあるんです。で 円盤はちょうど風車みたいに棒がついていて裏には円盤を回転させるためのハンドルがついているんです。
でね 絵の描いてある表面を鏡に向けて 自分はスリットの一つから鏡を覗きながらハンドルを回すと 鏡に反射した絵が動いて見えるんです。

分かりづらいかなー。すみません。説明が下手で。
そのへんは写真を見て想像してください。



余談ですが ふたを開けてみたらヒデトさんはさらに上手を行く立体物を作ってきていて…
そのままではパラパラマンガ鑑賞には不向きなのは変わらなかったんだけど(笑)それでもすごく可愛くて。そちらのインタビューはもう載ってるのかな?載ってたら是非読んでみてください。
(質問者注:オグリヒデトさんのインタビューはまだ載せていません)




Q: 装置の制作手順はパラパラマンガとはもちろん全く違うと 思いますが、「絵作り」という点に焦点を当てて、パラパラマンガとフェナキスティスコープでの相違点をお聞かせ下さい。

A: 基本的にどちらも動く絵を考えていくアイディア作業は同じですが、フェナキストスコープでは 盤が一回りしても動きが続いて見えるようにループする絵を描かなくてはいけません。
しかも パラパラマンガではコマ数は手でめくれる限り何枚でも重ねられますけど、驚き盤は枚数が限られます。作ってみて分かりましたが10枚から12枚が限度です。
それに 絵も複雑なものが描けないんです。大きめで簡単な絵じゃないと何が描いてあるのか 回したときによく見えない。

最初はtransformというのを作ったんですが 
絵の枚数が限られるな と思って それでは一つのコマに同じキャラクターを3つくらい下段 中段 上段と描いておいて 
それが一巡すると下段が中段の状態になってる中段のが上段の状態になってる っていうアイディアを思いついて
自分は天才なんじゃなーい?なんて思ってたんですけど、実際描いてみたら モチーフが小さくて何が起こってるのかさっぱりでしたね(笑)。

で 急遽 UP/DOWN/FALL/safe…?という簡単な絵のを作って 
一応この順番に見たら4コマみたいにオチが付きますよ とあがいてみました。


Q: 「ガーデン」というテーマ自体についてはどう感じましたか?自分の作品に、どう反映させようと思った?

A: 基本的に生ものは好きなんでね。あの つまり ロボットやメカより猫とか鳥とか芋虫とかってことで植物も好きですよ。

今回は見栄え優先だったので ディスプレイをガーデンっぽくしたいと思いました。
驚き盤の縁をお花の花びらの形に切り取って 茎に見立てた棒に付けて、鉢の中に詰め込んだ土色の粘土に差し込んで 鉢から生えてるようにしてみました。
命名 フェナキストフラワー!!って 何を言ってるんだか…(笑)

見るときは 茎を引き抜いて手で持って後ろのハンドルを回していただく形にしてね。

動画の中身もお花と芋虫さんというとてもシンプルな選び方をしてました。

(写真右上:UP、中央上:DOWN、左下:FALL、
中央下:safe…?、右:transform)


Q: 今回の作品作りで苦労をした点、発見した事、ここは注目して欲しいというポイントがあったら聞かせて下さい。

いやあ 苦労したのはやはりフェナキストスコープ初体験で
いろいろ制約があるってことが作りながらわかってきたことですね。
うーん… 動作とか演技とか中身をじっくり見せる装置としては向かない装置でしたねえ(笑)。綺麗な色 はっきりしたパターン シンプルさ そんなんがいいんでしょうか。


次回は絶対やりません(笑)。


ここは注目してほしい…ですか…?
次 絶対やらんっていってる作品に対して なんと酷な質問を(笑)。

いや もうこの作品そのものについては 驚き盤と言うパラパラマンガとは別種の動画を見る装置と言うものがあるよ〜 と 分かってもらえたら嬉しいです!

ちなみにtransformだけは二重三重に動画が連なるというアイディアが惜しかったので
後々一コマずつ撮影して パラパラマンガを作りました。そこまでいってやっと完成した そんな感じがしましたね。

そちらはイギリスのcardiffのkotatsu展に出しましたが 分かってもらえたのかな〜?
次回の日本の展示会では テーマに合ってスペースがあったら展示させてもらいたいと思ってます。


さちよさん、ありがとうございました!
なお、さちよさんの素晴らしいイラストが、今NHKのドラマでたくさん使われています。
すでに始まっています。なんと今夜もオンエアがありますので、ぜひチェックして下さい!
以下、さちよさんよりお知らせです。

【お知らせ】
2月15日から始まったNHKドラマ10『四十九日のレシピ』に私の描いたイラストが使われています!枚数は約45枚!
本放送
NHK総合 2月15日より毎週火曜日22:00〜22:50(全4回)
BS-hi 2月25日より毎週金曜日18:00〜18:50
再放送もあるようです。
詳しくは
http://www9.nhk.or.jp/drama/49nichi/
をご覧ください。

もちろん番組も(つーか むしろそっちを)ご覧ください!!

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